精神保健福祉手帳とは?🌸こころコラム🌸

西脇一朗医師監修
https://ric-mental.com/greeting/
こんにちは。RIC メンタルクリニックでございます。

本日は「精神保健福祉手帳」のご紹介です。
「精神保健福祉手帳って何ですか?」
「取得すると何か変わるのでしょうか?」
「持つと周りに知られてしまいませんか?」
通院している方から、このような質問を受けることは少なくありません。
精神保健福祉手帳は、精神疾患のある方が日常生活や社会生活を送りやすくするための制
度です。
しかし、「障害者手帳」という言葉だけが先行し、「取得すると不利益があるのでは」と不
安を感じている方もいらっしゃいます。
今回は、精神保健福祉手帳の基本的な仕組みや、どのような方が対象になるのか、取得す
るメリットなどについてご紹介します。

🌸🌸精神保健福祉手帳とは?

精神保健福祉手帳は、精神疾患によって長期間にわたり日常生活や社会生活に支障がある方
を対象とした手帳です。
この制度の目的は、「障害があること」を示すことではなく、必要な支援やサービスを利
用しやすくし、精神障害を抱えた方の自立・社会参加・社会復帰の促進を促すことで安心
して地域で生活できるようにすることです。
精神疾患にはさまざまな種類があります。
例えば、

  • うつ病
  • 双極性障害
  • 統合失調症
  • 不安障害
  • 強迫性障害
  • 発達障害
  • 高次脳機能障害 など
    病名だけで決まるわけではなく、「生活への影響」があるかどうかも含めて総合的に判断
    されます。
    また、すべての病名で申請できるわけではなく、病名によっては申請できないものもあり
    ますので主治医と該当する病名かどうか確認が必要になります。

🌸🌸手帳を取得できる人

一般的には、
精神疾患があり、①初めて医療機関を受診してから 6 か月以上経過している方、②現在も生
活への支障が続いていると主治医が判断する方
が申請の対象となります。
6 か月以上というのは、現在の医療機関の元に 6 か月通っていなくても構いません。最初
に受診した医療機関から含めて 6 か月以上経過していれば条件を満たします。
つまり、6 か月以上に亘って治療していても回復が不十分で生活に支障が残る場合に「病
気」から「障害(社会生活を営む上で長期にわたり支障がある状態)」となったと考えま
す。
始めて医療機関を受診してから 6 か月以上経過している方で
例えば…

  • 家事が思うようにできない
  • 一人で外出することが難しい
  • 働き続けることが困難
  • 人とのコミュニケーションに大きな負担がある
    など、日常生活や社会生活への影響がある場合に検討されます。
    「仕事に行けているから対象外」「通院しているだけだから申請できない」と決まっている
    わけではありません。
    一方で「通院しているから必ず申請できる」というものでもありません。
    一人ひとりの生活状況を踏まえて判断されます。
    ただし、複数の医療機関を転院してきた方でどこの医療機関にも通院していない期間が長期
    にわたりある方は、申請しても審査が通らない可能性もあるため注意が必要です。
    診断書を記載するには正確な病状や生活状況を主治医が把握している必要があるため、申請
    や更新を希望される方は定期的な通院が必要です。

🌸🌸等級について

  • 精神保健福祉手帳には、
  • 1 級:長期入院や常に介護が必要な状態で自立した日常生活が不可能
  • 2 級:日常生活を一人で送る事に大きな支障があり、就労が困難な場合が多い
  • 3 級:日常生活や社会生活に支障があるが概ね生活できる
    の 3 つの等級があります。
    等級は病名ではなく、
  • 精神症状の程度
  • 日常生活への影響
  • 社会生活への支障

などを総合的に判断して決定されます。
「症状が重いから必ず 1 級」
「うつ病だから 3 級」
というように病名だけで決まる制度ではありません。

🌸🌸手帳を持つメリット

精神保健福祉手帳を取得すると、さまざまな支援制度を利用できる可能性があります。
一番のメリットは、障害者雇用です。
職場に病状を理解してもらったうえでの就労ですので、配慮を受けながら就労することが
できます。もちろん手帳を取得したからといって障害者雇用で働かないといけないわけで
はなく、一般雇用で働くことも可能です。
それ以外にも等級や自治体によって受けられるサービスは異なりますが、一例として以下
のようなサービスがあります。
【すべての等級で利用できるもの】
・障害者雇用での就労
・水族館や博物館など公共施設での入場料の割引
など
【等級・自治体によるもの】
・NHK 受信料の減免
・市営・都営・県営住宅への入居時の優遇
・鉄道・バス・タクシーの運賃割引
など
実際に利用できるサービスの詳細は各自治体(お住いの地域の区役所)へお問い合わせく
ださい。

🌸🌸「会社に知られてしまうのでは?」

この質問は非常によくいただきます。
精神保健福祉手帳を取得しただけで、勤務先へ自動的に通知されることはありません。
また、障害者雇用で働く場合以外は会社へ提出する義務もありません。
障害者雇用で働く場合など、自分で手帳を提示する場面を除けば、取得したことが勤務先
へ伝わる仕組みにはなっていません。
そのため、
「今は一般就労を続けたい」
「将来必要になったら活用したい」
という考え方でも問題ありません。

🌸🌸一度取得すると返せないの?

手帳は一度取得したら一生持ち続けなければならないものではありません。
症状が改善して必要がなくなれば更新しないという選択もできますし、返還することも可
能です。
また、有効期間は 2 年間で、継続して利用する場合は更新手続きが必要です。更新は有効
期限の 3 か月前から行えます。

🌸🌸取得したほうがいい人とは?

精神保健福祉手帳は、すべての方が取得する必要がある制度ではありません。
しかし、

  • 働き方を見直したい
  • 福祉サービスを利用したい
  • 経済的な負担を少しでも軽くしたい
  • 将来に備えて制度を知っておきたい
    という方にとっては、大きな支えになることがあります。
    「まだ必要ないかもしれない」と思っていても、制度を知っておくだけで選択肢が広がる
    ことも少なくありません。

🌸🌸精神保健福祉手帳を取得するまでの流れ

精神保健福祉手帳の申請は、お住まいの自治体の窓口で行います。
大まかな流れは次のとおりです。

① 主治医に相談する
まずは、精神保健福祉手帳の対象になるかどうかを主治医へ相談しましょう。主治医が
「障害」として考えていくのが適切と判断していることが前提となります。
障害として考えていくのが適切ではない場合、申請可能な傷病名に当てはまらない場合な
どは診断書の記載が困難な場合もあるため、症状や日常生活への影響などを踏まえ、自分
の病状が該当するかどうかを相談しましょう。
「制度について詳しく知りたい」「自分が対象になるのか相談したい」「申請するかどうか
迷っている」といった場合は、一人で判断する必要はありません。
当院では、通院中の方を対象に専門職が制度に関するご相談をお受けしています。
手帳の制度や利用できる支援、申請を検討する際のポイントなどについてご本人の状況に
合わせてご説明いたします。
専門職との面談は事前予約制となっています。ご希望の方は、まず主治医へご相談いただ
き、次回診察予約時に予約をお取りください。

② 必要書類を準備し、主治医へ診断書の作成依頼をする
主治医と相談の上、申請をすることになった場合、必要書類の準備が必要です。申請に
は、自治体で配布される申請書などの必要書類を提出します。
手続きに必要な書類は自治体によって多少異なるため、事前に確認しておくと安心です。
かかりつけの病院の流れに基づいて診断書の作成を依頼し、依頼をしている間に自身で記
載する書類や必要な書類を揃えておくと提出までがスムーズです。

③ 自治体へ申請する
必要書類がそろったら、市区町村の障害福祉担当窓口などへ提出します。

④ 審査・交付
提出後は都道府県などで審査が行われます。
交付までには通常 2~3 か月程度かかることが多く、自治体によって多少異なります。
審査の結果、1 級~3 級のいずれの等級にも該当しないと判断された場合は、精神保健福
祉手帳は交付されません。
交付の準備ができると、自治体から案内があります。

🌸🌸自立支援医療と同時に申請できる場合があります

精神科や心療内科に通院している方の中には、「自立支援医療」と「精神保健福祉手帳」
の両方を利用されている方も少なくありません。
自立支援医療は、精神科の通院医療費の自己負担を軽減する制度です。一方、精神保健福
祉手帳は、生活や就労を支えるための福祉制度です。
目的は異なりますが、自治体によっては両方を同時に申請することが可能です。
同時申請を行うことで、必要書類をまとめて提出できる場合もあり、手続きの負担を減ら
せることがあります。
ただし、申請方法や必要書類は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの自治体へ
確認しましょう。
精神保健福祉手帳は、「障害を証明するため」だけの制度ではなく、生活や仕事を支える
ための制度です。
一方で、

  • 自分は対象になるのだろうか
  • 取得したほうがいいのか迷う
  • 利用できる制度が知りたい

と悩まれる方も多くいらっしゃいます。
制度には自治体ごとの違いもあり、ご本人の生活状況によって適した活用方法は異なりま
す。
「まだ申請するか決めていない」という段階でも構いません。まずは制度を正しく知り、
ご自身にとって必要かどうかを考えるところから始めてみましょう。
当院では、通院中の方を対象に、専門職による無料相談も行っています。
お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください
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