障害年金とは?制度の基本から申請の流れまで解説🌸制度・サービス🌸
西脇一朗医師監修
https://ric-mental.com/greeting/
こんにちは。RICメンタルクリニック三軒茶屋でございます。
本日は「障害年金」のご紹介です。
「働けなくなったら障害年金がもらえるらしい。」
「精神疾患でも対象になるの?」
「自分は申請できるのかわからない。」
外来でも、このようなご相談をいただくことが少なくありません。
一方で、「障害年金は身体障害だけの制度」「仕事をしているともらえない」といった誤解も多く、制度を利用できる可能性があるにもかかわらず、相談までたどり着けない方もいらっしゃいます。
障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に支障がある方を支える大切な制度です。
今回は、制度の基本から申請までの流れ、知っておきたいポイントをわかりやすくご紹介します。
🌸障害年金とは?
障害年金とは、病気やけがによって日常生活や仕事に支障が生じた方を支えるための公的な年金制度です。
「年金」と聞くと、高齢になってから受け取る老齢年金を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、障害年金は年齢に関係なく、病気やけがによって生活や就労に一定の制限が生じた場合に受けられる可能性がある制度です。
対象となるのは身体の障害だけではありません。精神疾患も対象となる場合があり、うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害などで、日常生活や仕事に大きな支障がある場合には障害年金を受給できることがあります。
一方で、「精神科に通院しているから必ず受給できる」「診断名がつけば受給できる」という制度ではありません。
後ほど説明する申請条件を満たしていることが前提条件となりますが、
審査では、診断名だけではなく、
- 身の回りのことを一人で行えるか
- 家事や買い物ができるか
- 通院や服薬管理ができるか
- 就労状況や職場での配慮
- 家族や周囲からどの程度支援を受けているか
など、病気が日常生活や社会生活にどの程度影響しているかが総合的に判断されます。
また、「障害者手帳がないと障害年金は申請できない」と思われている方もいますが、これは誤解です。
障害者手帳と障害年金は、それぞれ目的や審査基準が異なる別の制度です。そのため、障害者手帳を持っていなくても障害年金を受給できる場合があり、反対に障害者手帳を持っていても障害年金の対象とならない場合もあります。
障害年金は、「働けなくなった人だけの制度」ではなく、病気や障害によって生活に困難を抱えている方が、安心して治療や生活を続けられるよう支えるための社会保障制度です。
「自分が対象になるかわからない」「制度について詳しく知りたい」という場合には、一人で判断せず、まずは主治医や専門職へ相談してみることをおすすめします。
また、お住まいの地域の年金事務所でも相談に乗ってもらえます。
🌸初診日が重要な理由
障害年金を申請するうえで、特に重要になるのが「初診日」です。
初診日とは、現在の障害の原因となった病気や症状について、初めて医療機関を受診した日をいいます。
例えば、うつ病と診断された方であっても、最初は「眠れない」「気分が落ち込む」「仕事に行けない」といった症状で内科を受診していた場合は、その内科を受診した日が初診日となることがあります。
また、発達障害のある方が、二次障害としてうつ病や不安障害を発症した場合などは、どの病気が現在の障害につながっているのかによって初診日の考え方が異なることもあります。
そのため、「精神科を初めて受診した日」が必ずしも初診日になるとは限りません。
初診日によって決まること
初診日は、障害年金の審査においてさまざまな基準となります。
例えば、
- 障害基礎年金と障害厚生年金のどちらが対象となるか
- 保険料の納付要件を満たしているか
- 障害認定日がいつになるか
などは、初診日をもとに判断されます。
そのため、初診日を正確に確認することは、障害年金を申請するうえで欠かせません。
初診日がわからない場合はどうすればいい?
「かなり前の受診なので覚えていない」「以前通っていた病院が閉院してしまった」という方も少なくありません。
そのような場合でも、健康保険の受診記録や、お薬手帳、紹介状、診察券などから確認できることがあります。
また、医療機関や年金事務所へ相談しながら確認を進められる場合もありますので、「わからないから申請できない」と諦める必要はありません。
🌸障害年金には2つの種類があります
障害年金には、大きく分けて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
どちらが対象になるかは、現在加入している年金ではなく、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
①障害基礎年金(1級・2級対象)
障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた方や、20歳前に初診日がある方などが対象となる制度です。
例えば、
- 自営業の方
- 学生の方
- 無職の方
- 20歳前に発症した病気や障害がある方
などが対象となる場合があります。
②障害厚生年金(1級・2級・3級対象)
障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していた方が対象となります。
例えば、
- 会社員の方
- 公務員の方
などが該当します。
厚生年金に加入していた方は、障害厚生年金の対象となる可能性があります。
「今」の加入状況ではなく、「初診日」が基準です
「以前は会社員だったけれど、現在は退職している」「今は国民年金だけれど、発症した当時は会社員だった」という方もいらっしゃいます。
このような場合でも、判断の基準となるのは現在の状況ではなく、病気や症状で初めて医療機関を受診した日の加入状況です。
そのため、現在退職している方でも、初診日に厚生年金へ加入していた場合は、障害厚生年金の対象となる可能性があります。
どちらに該当するかわからない場合は相談しましょう
初診日が何年も前になると、「当時どの年金制度に加入していたかわからない」という方も少なくありません。
また、ご自身では障害基礎年金だと思っていても、実際には障害厚生年金の対象となるケースや、その逆の場合もあります。
制度は少し複雑ですが、ご自身で判断する必要はありません。
🌸障害年金を受けるためには3つの条件があります
障害年金は、病気や障害がある方すべてが対象になるわけではありません。
障害年金は公的な年金制度の1つですので、公的年金に未加入だと受け取ることはできません。初診時に国民年金・厚生年金いずれかに加入していたことが絶対条件になります。
前述の条件を満たしたうえで申請するためには、主に次の3つの条件を満たす必要があります。
①初診日の要件を満たしていること
まず重要なのが、「初診日」が確認できることです。
初診日とは、現在の障害の原因となった病気や症状について、初めて医療機関を受診した日のことをいいます。
この初診日によって、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらが対象になるかや、申請できる時期などが決まります。
②保険料の納付要件を満たしていること
障害年金は公的年金制度の一つであるため、原則として一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。
ただし、20歳前に初診日がある場合など、保険料の納付要件が異なるケースもあります。
詳しい要件は個々の状況によって異なるため、年金事務所や専門家へ確認することが大切です。
③障害認定基準に該当する状態であること
3つ目は、病気や障害によって日常生活や社会生活に一定以上の支障があることです。
精神疾患では、診断名だけではなく、
- 身の回りのことをどの程度自分で行えるか
- 家事や買い物ができるか
- 通院や服薬管理ができるか
- 対人関係やコミュニケーションに支障があるか
- 就労を続けるために職場からどのような配慮や支援を受けているか
などが総合的に判断されます。
「診断名がある=受給できる」ではありません
「うつ病だから受給できる」「発達障害だから対象になる」というように、病名だけで受給が決まるわけではありません。
反対に、同じ診断名でも、生活への影響の程度によって審査結果が異なることがあります。
そのため、障害年金では、病気そのものではなく、その病気によって日常生活や仕事にどのような支障が生じているかが重要になります。
まずは対象になるか相談することが大切です
「自分は条件を満たしているのかわからない」「働いているけれど申請できるのだろうか」と不安に思われる方も少なくありません。
制度は複雑で、ご自身だけで判断するのは難しい場合があります。
当院では、障害年金についてのご相談も受け付けています。精神保健福祉士などの専門職が制度の概要や申請の流れについてご説明し、申請を検討されている方をサポートしています。
「まだ申請するか決めていない」という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
🌸障害認定日とは?
障害年金を申請するうえで、「初診日」とあわせて知っておきたいのが障害認定日です。
障害認定日とは、障害の状態を判定する基準となる日のことです。
原則として、初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。
例えば、2025年4月1日に初診日がある場合は、原則として2026年10月1日が障害認定日となります。
この障害認定日の時点で、障害認定基準に該当する状態であるかどうかが審査の重要なポイントとなります。
必ず1年6か月待たなければならないの?
多くの場合は、初診日から1年6か月を経過した後に申請を検討することになります。
一方で、障害認定日の時点では障害年金の対象とならなかった場合でも、その後に病状が悪化し、日常生活や就労への支障が大きくなった場合には、後日あらためて申請できる場合があります。
そのため、「認定日の時には対象ではなかったから、もう申請できない」というわけではありません。
病状が落ち着くまで待った方がいい?
「もう少し様子を見てから申請した方がいいですか?」というご質問をいただくことがあります。
しかし、申請するタイミングは病状や生活状況によって異なるため、一概には言えません。
ご自身で判断するのではなく、現在の症状や生活状況を踏まえながら、主治医と相談して検討することが大切です。
🌸障害年金を取得するまでの流れ
障害年金の申請は、いくつかの手順を踏んで進めます。
必要となる書類や手続きは状況によって異なりますが、一般的な流れをご紹介します。
①まずは主治医へ相談しましょう
障害年金を考え始めたら、まずは主治医へ相談することが大切です。
現在の病状や生活状況が障害年金の対象となる可能性があるか、申請を検討するタイミングかなどを一緒に確認していきます。
「制度について詳しく知りたい」「自分が対象になるのかわからない」「申請するかどうか相談してから決めたい」という方も少なくありません。
当院では、精神保健福祉士(PSW)などの専門職による制度相談を行っています。
制度の概要や申請までの流れ、必要な手続きについてご説明し、患者さん一人ひとりの状況に合わせてご相談をお受けしています。
障害年金だけでなく、
- 自立支援医療
- 精神保健福祉手帳
- 傷病手当金
- 就労移行支援
- リワーク
など、利用できる制度についてもあわせてご案内しています。
「申請するか決めていない」という段階でも構いませんので、お気軽に主治医へご相談ください。
※専門職との相談は事前予約制となります。まずは主治医とご相談ください。
②必要書類を準備する
申請には、年金事務所などで受け取る請求書類のほか、初診日を確認するための書類や、ご本人が生活状況などを記載する書類などが必要になります。
必要となる書類は、初診日や加入していた年金制度などによって異なるため、不明な点があれば年金事務所へ確認しながら進めると安心です。
③書類を提出する
必要な書類がそろったら、年金事務所などへ提出します。
提出後は、日本年金機構による審査が行われます。
書類に不備がある場合には追加で確認が行われることもあるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
④審査・結果通知
提出された書類をもとに、障害の状態や日常生活への影響などが総合的に審査されます。
その結果、障害等級に該当すると判断された場合に、障害年金の支給が決定します。
一方で、審査の結果、障害等級に該当しないと判断された場合には、障害年金は支給されません。
また、審査では診断名だけでなく、日常生活や就労状況、治療経過なども総合的に確認されます。
そのため、「診断名があるから必ず受給できる」「申請すれば必ず認められる」という制度ではありません。
当院では申請後も継続してサポートしています
障害年金は、申請することがゴールではありません。
病状の変化に応じて更新手続きが必要になる場合もあり、治療を続けながら生活を安定させていくことが大切です。
当院では、診察だけでなく、精神保健福祉士などの専門職とも連携しながら、患者さんの生活全体を支えることを大切にしています。
制度についてわからないことや不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
🌸最近の審査で知っておきたいこと
近年、障害年金の審査については、提出された書類の内容がより丁寧に確認される傾向があると言われています。
そのため、「以前は受給できたケースでも、現在では認められないことがあるのではないか」と感じる医療機関や支援機関もあります。
もちろん、審査基準そのものが大きく変わったわけではありませんが、診断名だけではなく、病状や日常生活への影響、就労状況などが総合的に判断されるという点は以前と変わりありません。
通院を継続していることも大切です
精神疾患では、継続して治療を受けていることも重要な判断材料の一つとなります。
そのため、長期間通院が途絶えている場合には、現在の病状や生活への影響を客観的に確認することが難しくなり、審査に影響することがあります。
事情があって通院できなかった場合でも、それだけで必ず不支給になるわけではありませんが、気になることがあれば早めに主治医へ相談することが大切です。
働いていると申請できないわけではありません
「仕事をしているから障害年金は申請できない」と思われる方もいますが、そのようなことはありません。
実際には、働きながら障害年金を受給している方も多くいらっしゃいます。
一方で、一般就労を継続し、安定した収入を得ている場合には、日常生活や就労への支障が比較的少ないと判断され、障害等級に該当しないこともあります。
審査では、
- 勤務時間
- 仕事内容
- 職場で受けている配慮
- 欠勤や休職の状況
- 就労を継続するために必要な支援
なども含めて総合的に判断されます。
そのため、「働いているから受給できる」「働いていないから受給できる」というように、一つの条件だけで決まる制度ではありません。
大切なのは、現在の生活状況を正確に伝えることです
障害年金の審査では、「診断名」だけでなく、「病気によって日常生活や社会生活にどのような影響があるのか」が重視されます。
普段の生活で困っていることや、周囲から受けている支援、仕事を続けるうえでの困難などを、主治医へ日頃から伝えておくことも大切です。
また、申請するか迷っている場合や、ご自身が対象になるか分からない場合は、一人で判断せず、主治医や専門職へ相談することをおすすめします。
🌸社会保険労務士へ依頼する前に知っておきたいこと
障害年金の申請は必要書類が多く、手続きも複雑なため、社会保険労務士(社労士)へ依頼する方もいらっしゃいます。
社労士は障害年金申請の専門家であり、書類の準備や手続きのサポートを受けられることは大きなメリットです。
制度に慣れていない方にとっては、安心して申請を進められる場合もあります。
一方で、社労士へ依頼したからといって、必ず障害年金が認められるわけではありません。
障害年金を支給するかどうかは、日本年金機構が提出された書類をもとに総合的に審査して決定します。そのため、医療機関や社労士が受給を保証することはできません。
診断書は医師が医学的な判断に基づいて作成します
障害年金の申請では、診断書が重要な書類の一つとなります。
診断書は、医師が患者さんの日頃の診療内容や病状、日常生活への影響などを医学的な視点から判断し、作成する公的な書類です。
そのため、患者さんやご家族、社労士から「○級に該当する内容で書いてほしい」「このような表現に変更してほしい」といった、等級や内容を前提としたご要望にはお応えできない場合があります。
もちろん、実際の生活状況や困りごとについて補足いただくことは、診断書を作成するうえで大切な情報になります。
一方で、医学的な判断に関わる部分については、医師が責任を持って記載します。
患者さん・医療機関・社労士が連携することが大切です
社労士は申請手続きの専門家、医師は診療と医学的判断の専門家、それぞれ役割が異なります。
患者さんの日頃の生活状況や困りごとを共有しながら、それぞれの専門性を尊重して連携することが、円滑な申請につながります。
当院でも、障害年金についてのご相談を受け付けており、精神保健福祉士などの専門職とも連携しながら、制度のご説明や申請までの流れをご案内しています。
制度について分からないことや不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
当院では、特定の社会保険労務士との提携や紹介を目的とした診療は行っていません。患者さんの状況に応じて、主治医・専門職・必要に応じた支援機関と連携しながら、公平な立場で制度利用をサポートしています。
よくある質問(Q&A)
Q.働いていても障害年金は申請できますか?
はい、申請することは可能です。
障害年金は「働いているかどうか」だけで判断される制度ではありません。
仕事内容や勤務時間、職場で受けている配慮、就労を続けるために必要な支援なども含め、日常生活や社会生活への影響を総合的に審査します。
Q.障害者手帳を持っていなくても申請できますか?
はい、申請できます。
障害者手帳と障害年金は別の制度であり、審査基準も異なります。
そのため、障害者手帳がなくても障害年金を受給できる場合があります。
また、障害者手帳と障害年金は同時に手続きを進めることも可能です。
Q.自立支援医療を利用していますが、障害年金も申請できますか?
はい。
自立支援医療と障害年金は別の制度ですので、条件を満たしていれば併用することができます。
Q.初診日がわからなくても相談できますか?
もちろんです。
初診日は障害年金を申請するうえで重要なポイントですが、受診から何年も経っていると覚えていない方も少なくありません。
受診していた医療機関や健康保険の記録などから確認できる場合もありますので、まずは主治医や年金事務所へ相談しましょう。
Q.一度不支給になったら、もう申請できませんか?
いいえ。
病状や生活状況が変化した場合には、再度申請を検討できることがあります。
また、不支給となった理由によって対応方法が異なるため、主治医や専門家へ相談することをおすすめします。
Q.更新のときも審査がありますか?
はい。
障害年金には更新が必要です。
更新時には、その時点での病状や日常生活の状況などをもとに再度審査が行われます。
そのため、更新だから必ず継続できるとは限らず、病状や生活状況の変化によって、支給内容が変更されたり、支給対象外となることもあります。
Q.社会保険労務士へ依頼したほうがよいですか?
申請手続きが不安な場合には、社労士へ依頼することも一つの方法です。
ただし、社労士へ依頼したからといって受給が保証されるわけではありません。
ご自身の状況に応じて、主治医や専門職とも相談しながら進めることが大切です。
Q.制度について相談だけでもできますか?
はい。
「自分が対象になるかわからない」「申請するか迷っている」という段階でもご相談いただけます。
当院では、精神保健福祉士などの専門職が制度の概要や申請までの流れをご説明しています。
相談は事前予約制となりますので、ご希望の方は主治医へお声がけください。
🌸まとめ
障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に支障がある方を支える大切な制度です。
一方で、制度の仕組みは複雑で、「自分が対象になるかわからない」「何から始めればよいかわからない」と感じる方も少なくありません。
障害年金は、診断名だけではなく、日常生活や社会生活への影響などを総合的に判断して審査されます。また、申請には初診日の確認や必要書類の準備など、事前に確認しておきたいことも多くあります。
制度を正しく知り、必要な支援につながることが、安心して治療や生活を続ける第一歩になると私たちは考えています。
当院では、通院中の方を対象に、専門職による無料相談も行っています。
お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください
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