治療が進んでいる実感が持てない人へ🌸こころコラム🌸
こんにちは。RICメンタルクリニックです✨
精神科や心療内科に通院し、薬を飲んだり、休養を取ったりしているのに
「正直、良くなっている感じがしない」
「本当にこの治療で合っているのだろうか」
そんな不安を抱えている方は少なくありません。
実はこの感覚そのものが、回復の途中でとてもよく起こる状態でもあります。
今回は、「治療が進んでいる実感が持てない」と感じる理由と、その見方についてお伝えします。
「治療=すぐ楽になる」とは限らない
多くの方が、治療を始めると
・気分が一気に明るくなる
・不安がすぐに消える
・以前の自分に戻れる
そんな変化をどこかで期待しています。
しかし、精神科の治療は風邪のように数日で治るものではありません。
むしろ、回復はとても静かで、分かりにくい形で進むことがほとんどです。
特に初期から回復期にかけては、
「一番つらい時期は過ぎたけれど、楽になった感じもしない」
という“宙ぶらりん”の感覚が続きやすいのです。
回復は「一直線」ではありません
治療が進んでいるときでも、体調や気分には波があります。
・昨日は少し動けたのに、今日はしんどい
・調子が良かった分、反動で疲れる
・不安がぶり返したように感じる
こうした変化があると、「後退しているのでは」と感じてしまいます。
しかし、精神的な回復は階段状で進むことが多く、
上がっては少し下がり、また上がる、を繰り返します。
一時的に調子が落ちたように感じても、
それがすぐに「治療が失敗している」ことを意味するわけではありません。
「つらさが減る」より先に起こる変化
治療の初期〜途中段階では、こんな変化が先に現れることがあります。
・以前ほど追い詰められなくなった
・最悪の状態を想像する頻度が減った
・「休もう」と思える瞬間が増えた
・無理をしている自覚を持てるようになった
これらは一見すると地味で、「良くなっている」とは感じにくいかもしれません。
ですが、回復の土台が整い始めているサインでもあります。
「元気になる前に、まずブレーキが効くようになる」
そんなイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれません。
なぜ「良くなっている実感」が持てないのか
治療中の方が実感を持ちにくい理由には、いくつかの背景があります。
① つらい状態が「基準」になってしまっている
長く不調が続くと、その状態が当たり前になります。
少し楽になっても「これくらい普通では?」と感じてしまうのです。
② 周囲と比べてしまう
「他の人はもっと良くなっているのに」
そんな比較が、自分の回復を見えにくくしてしまいます。
③ 早く良くなりたい気持ちが強い
回復を急ぐほど、「まだ足りない」「不十分だ」という感覚が強くなります。
「実感がない=治療が無意味」ではありません
とても大切な点ですが、
実感がないことと、治療が進んでいないことは別です。
脳や神経の回復は、本人の感覚よりもゆっくり、静かに進みます。
本人が気づく頃には、すでに一定の回復が積み重なっていることも珍しくありません。
もし可能であれば、
・数か月前と比べてできること
・悪化した時の戻り方
・生活の安定度
こうした点を振り返ってみてください。
「ゼロか100か」ではなく、「小さな変化」に目を向けることが大切です。
不安な気持ちは、そのまま伝えていい
「良くなっている気がしない」
「このままで大丈夫なのか不安」
これらは、とても自然な気持ちです。
遠慮せず、診察の中でそのまま言葉にして問題ありません。
治療は患者さんと医療者が一緒に調整していくものです。
不安を伝えることは、治療を妨げる行為ではなく、むしろ前進につながります。
最後に
治療が進んでいる実感が持てないとき、人はとても孤独を感じます。
「自分だけが取り残されているのではないか」
そんな思いが浮かぶこともあるでしょう。
ですが、実感がないままでも、回復は水面下で進んでいることがあります。
焦らず、比べすぎず、今の状態を「ダメだ」と決めつけすぎないでください。
もし一人で抱えるのがつらいときは、
医師だけでなく、専門職との面談などで気持ちを整理するのも一つの方法です。
「良くなっている感じがしない」
その言葉の奥には、回復しようとする力がすでに存在しています。
当院では専門職面談を行っています。ご気軽にご相談ください。
https://ric-mental.com/professional-consultation
この記事の監修者
西脇 一朗 (Nishiwaki Ichiro)
医療法人社団RIC 理事長/RICメンタルクリニック白金高輪 院長
金沢医科大学医学部卒業、藤田医科大学大学院修了。藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)精神科に入局後、桶狭間病院 医長、藤田保健衛生大学精神科 助教、西脇病院 地域連携担当部長、横浜市内メンタルクリニック院長などを歴任。
2020年にSANCHAこころのクリニックを開院し、2023年に医療法人社団RICを設立。現在はRICメンタルクリニック白金高輪 院長を務めている。
資格等:日本精神神経学会 精神科専門医・精神科指導医・認知症診療医、精神保健指定医、医学博士、認知症サポート医、臨床研修指導医講習会修了、メチルフェニデート塩酸塩登録医。
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